DOS & DON'TS




THE CREATORS PROJECT - SPIKE JONZE







Photo by Vivian Joyner.




ウィル・レモンは半目開き、楽チンズボンと、「それがどうしたんだ よぅ~」的態度のそこら辺にいる元カリフォルニアヒッピーとはわ けが違う。彼こそが西海岸にまったく新しいやり方でシルクスクリ ーンプリントのT-シャツ、ジャケット、トートバッグとバンダナをスー ツケース山盛りに運んで来た、太平洋に吹くそよ風の化身なのだ。 「調理学校出身の俺が、こんなことしようとは夢にも思わなか ったんだよね」とウィルは言う。しかしはっきり言ってその方が よかった。彼がとてつもないアマチュアだからこそ、うっとうし いプロのテク、例えばブランドを立ち上げるとか大量生産、とい ったワザを使わずに世界に一枚しかないデザインが作れたの だ。「俺のシャツを買いに行っても『Will Lemon』ってでっかく 書いてあるシャツなんてない、そんなダサイ事したくねぇもん」

その代わり、彼はADD(注意欠陥障害)の子が初めて安全バサミを 使った時並みの集中力を持って壁紙や織物の端切れを切ったり貼っ たりしてイメージやパターンを作っていく。ウィルいわく「俺さぁ、何を どうしたらいいのかなんて、ぜ~んぜん知らねぇんだよねぇ」との事。

彼のその「業界って、何?ブランド?大量生産?」的なやり 方は業界人の目を引き、高級ヴィンテージショップのSome Old Rubiesなんかがその冴えない商品をちょっとでもかっ こよくする為に彼を抜擢した位だ。Opening Ceremony( NY)と我がViceショップも彼のシャツを買ったりした。

この仕事で乳癌を治してやってんだよっ、なんて思いながら クソ面白くもないシルクスクリーンのシャツを作っている理想 だけはバカ高いデザイナー達とは一線を越え、ウィルは自分 が作っている物が単なるT-シャツであることを知っている。し かし、一見無欲な彼だがどうやったらその質素な肩書きを有 利に見せられるかは見つけ出した様だ:「俺の肩書きってさ、 何通りか違う言い方が出来るよね。『僕、T-シャツ作ってんだよ ね』って言うのもアリだけど、『僕って服のデザイナーなんだよ ね』って言ったら、全ての女の子は目を潤ませるんだ。服のデザ イナーは自動的にパンティーの中身を拝借出来るってワケさ」

MIDNIGHT