DOS & DON'TS




THE CREATORS PROJECT - SPIKE JONZE







この写真は、五年くらい前のリル・キム。まだあんまり知られていない頃だ。Photos by Terry Richardson.



1995年、全身黒ずくめの小柄なリル・キムが、ジュニア・マフィアの メンバーに囲まれて、ベティ・ブーを想像させるドレスを着て登場 した時、ビギー・スモールズの言う事なら何でも聞く、カワイイ女 の子という印象だった。しかし、ビギーの死後、リル・キムのキュー トなイメージは一気に逆転した。何週間も行方をくらませたり、飲 酒、麻薬摂取、セックスの噂が何週間も続いた。そんなスキャンダ ルのほとぼりも冷めた頃、暗闇の中から、まるで狂犬病にかかった 雌ライオンのごとく我々の前に再び姿を現したリル・キムを見て私 は言った。「一体何あれ?!」



そしてリル・キムは、次々と来るPRキャンペーンのオファー、有名 ファッションブランドとの契約といった武器と、官能的かつ挑発的 なファッションとセックスアピールで、一躍ラップ界に旋風を巻き 起こした。

彼女のスゴさはそれだけではない。自作アルバム2枚合わせて の売り上げが1600万枚なのにも関わらず、(プラチナアルバムに なるには1枚で1000万枚を売り上げなくてはならない)なぜか自 らを「マルチ・プラチナ・アーティスト」と呼ぶリル・キム。そして彼 女は、プラチナアーティストらしい扱いを要求する。ヘアメイクだ けでも何百万とかけてるらしい。あるPV撮影現場で、約100人のあ っけにとられたスタッフをよそに、キムはヘアメイクのトレーラー に一日中入ったまま出てこなかったというエピソードは今だにネ タにされているらしい。

このありえないほどのプリマドンナぶりは別として、今では「ヴァ ニティ・フェア」(アメリカの有名カルチャー誌)級のセレブとなった リル・キムだが、忘れてはいけないのは、確実に彼女は才能のある 女性MCの1人として最高の地位に立っているのだ。

VICE:“セックスが売りのラッパー”みたいに思われてる感じがする けど、そういうイメージを変えようと思ったことは?
リル・キム:それが難しいのよね。この業界に入る時ってみんなが 若いわけだし、とにかく周りの期待に答えたいって思ってるわけ。 私の場合、セックスのイメージが定着しちゃったでしょ。一度ある カテゴリーに入っちゃうと、ずーっとそこにいなくちゃいけないの。 フェアじゃないでしょ?私だっていっつもセクシャルでいれるわけ ないし、だからって今さらゴスペルラッパーにはなれないし。

MCの活動の方にはスポットが当たってないみたいだけど。
私は明らかにマルチ・プラチナ・アーティストよ。レーベルの押しが 足りないだけなの。私の才能にセールスが追いつかないのよ。皮肉 よね。本当はその逆でしょ?でも私みたいなアーティストをどうPRし ていいか分からないのね。レーベルのお偉いさんはみんな頭が堅 いのよ。私の状況はマリリン・モンローのヒップホップバージョンみ たいなものね。私はビジネスでは残忍だし、手強いわよ。欲しいもの が手に入るまでやめないわ。でもアーティストとエンタテイナーとし

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